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Armchair in Brazilian rosewood by Ole Wanscher,Sideboard in solid oak by Kurt Østervig,Model JH 503 in mahogany by Hans J. Wegner, Chest of drawers in rosewood by Niels Clausen ,FJ-02 sofa in yamazakura by Finn Juhl,Sideboard in solid oak by Kurt Østervig,Balloon chair by Hans Olsen,Coffee table/ side table in rosewood ,High back falcon chair by Sigurd Ressell…他
Armchair in Brazilian rosewood by Ole Wanscher
彫刻作品と言っても過言ではないだろう。優雅で趣あるデザインだ。まずはアーム、緩やかな曲線を描きつつ美しい流れのまま肘置きとしての役割をまっとう、接合部というよりは自ら座面を挟み込むというデザインに目を奪われる。ヴァンシャーらしい設え(しつらえ)だ。それまで世界中にあったあらゆるデザインを研究し作品に生かしている。後脚の形状はアンピール様式を彷彿とさせるし、家具の原型が生まれた古代エジプト時代から18世紀の英国デザイン、中国デザインに至るまでをヴァンシャーらしいシャープな視点で作品随所に刻み込んでいる。(その後、萌芽的に誕生したモダンデザインは概ねヴァンシャーの影響を受けているのは言うまでもない。)無駄なものを剥ぎ落とし、究極の削り込みが施された作品に余念ない作家魂が見て取れる。眺め続けても決して飽きることのない作品である。
Sideboard in solid oak by Kurt Østervig
研鑽を積んだ作家ならではの細密さ、全てに於いて収まりが良い。用いられた無垢材はずっしりと重厚さを醸しながら、確実に使い手の要望に応える。その様は当意即妙、作家の想いが作品を通して届けられる。収納部を見ていると、物の整理整頓が心を整える近道だと念を押されたように感じた。端然とした姿が非常に美しい作品である。
Model JH 503 in mahogany by Hans J. Wegner
1949年、巨匠Hans J. Wegnerによってデザインされた造形の美「The chair」。J・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビの討論会で座った椅子というのは、あまりにも有名なエピソード。優雅なフィンガージョイントは揺るぎない姿勢で泰然と構えている。高い職人技術が求められた非凡な曲線、そして妥協とは程遠い超凡な削り込み、秀作になるにはそれだけの理由があるのだと納得の作品である。
Chest of drawers in rosewood by Niels Clausen
つつがなく静謐な印象を放つ実に魅力的な作品である。濃淡が美しいローズウッドの風合いが、形状と共に波動を響かせる。自然を感じながらデザインを尊ぶ秘訣が詰まっているようだ。家具といっても侮ること無かれ、作家が精魂込めて作った作品だもの、知識や情報、気候の変化さえも吸収し経年を重ねている。あなたには聞こえるだろうか、人生は工夫次第だと傑作が語りかけている。
FJ-02 sofa in yamazakura by Finn Juhl
フィンユール作品に関してたくさんのことを学んできたが、そびえ立つ豊かなデザインを目の前にすると全てを理解したなんて烏滸がましくて到底言い難い。逸品たちが隠し持つ静かで奥行きのある世界は、眺めると微妙に振動を始める。それらは感性への刺激となって使い手にインスパイアする。手間のかかる作業に誇りが煌く瞬間だ。磨きのかかった輪郭は新しい世界を受け入れる。作り手と使い手、時空は違えど作品が引き合わせる妙趣は人生の大冒険である。
Balloon chair by Hans Olsen
この椅子と過ごすことで、今まで知らなかった選択肢が生まれそうだ。いや、選択の基準に変化が起こると言った方が正しいかもしれない。加わったのは飛びっきり魅力的な選択基準、ユニークな形状と暮らすと思いがけないアイデアが思い浮かぶものだ。素通りしていた自身の感度に輝きが芽生え出す。ものの捉え方が解放され、興味深い立ち位置を好むだろう。Hans Olsen作品のユニークな形状は、あなたの視野を広げ、そして視座を高め続ける。アートピースとの出会いとはそういう発見を手に入れることである。
Coffee table/ side table in rosewood
悠然と構えた姿を隅々まで目で追う、はっと我に返る、気がつけば見惚れてしまっている。作家の見てきた風景がじわじわと作品に滲み出ているようだ。デザインされてから60年が経過、しかし作品はびくともしない。両端のエッジを引っ張るとエクステンションリーフが凜然と顔を出す。(職人の腕の見せ所!)あまりの美しさに声が出そうだ。丁寧な当時の手仕事、今から思えば気が遠くなるほどの工程を辿っている。
High back falcon chair by Sigurd Ressell
シグード・レッセルの瑞々しい感性がそのままデザインに投影された作品、いつ見てもとても興味の注がれる独創性豊かなデザインである。花弁を守る萼のように四方から座面を吊り支える、座ったときの体の塩梅が見事なまでに調和する抜群の座り心地、まさしくオンリーワンの強みが凝縮した作風が楽しい。