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Model NV 48 armchair in teak by Finn Juhl,Bang&Olufsen Stereo rack in rosewood by Jacob Jensen,NV53 in teak by Finn Juhl,Modus easy chair in oak by Kristian Solmer Vedel,Model 1001 sofa by Sven Ivar Dysthe,Model A232 “China” cabinet in teak by Børge Mogensen,Basket chair by Gian Franco Legler,BB54 secretary/cabinet by Cees Braakman,
Model NV 48 armchair in teak by Finn Juhl
時代の移り変わりをびくともせず、堂々と底知れぬ魅力を響かせている。デザインされてから70年以上経ったとはいえ、長い間維持され続ける品質からは類似を遠ざける気迫が見て取れる。フィン・ユール作品に心を強く引きつけられるのは、生涯抱き続けた熱い思いを見事に形状で表現しているからだろう。その価値は計り知れない。
Bang&Olufsen Stereo rack in rosewood by Jacob Jensen、
自由にしなやかに思いのまま出し入れできる非常に優れたデザイン。これほどまでに音楽好きを唸らせ続けるステレオラックが他にあるだろうか。痒いところに手が届くたびに満足感を覚えるのだ。愛着を抱かずに存在させるなんてできないと思う。森の木が突然一斉に芽吹くように自由な発想がデザインを噴出させた60年前、当時の豊かな感性を現在に取り入れる喜びはひとしおだ。新鮮で魅力的なものがいつも新しいとは限らないのだ。満足感が深層に到達する瞬間を味わえる、まさに珠玉の作品である。
NV53 in teak by Finn Juhl
同じ光景を見ていても座っている椅子により景色が変わる、このことを教えてくれたのが巨匠フィン・ユールの作品だ。何がこんなにも気持ちを昂らせるのか、この作家の作り出す世界は未踏の領域に旅をさせる。浮かぶ言葉、独創的なアイデア、日々への情熱、待ち遠しい明日を約束してくれるのだ。また、枠を飛び越えた「存在の美」も次元を異にする。時折目に飛び込む美しい形状は、光を浴びながら日向ぼっこを楽しみ、最も純粋に、居るべき場所を確保しながら優雅に佇み、見ている側を魅了し続ける。圧倒的逸品、得も言われぬ美の象徴である。
Modus easy chair in oak by Kristian Solmer Vedel
この斬新な造形美はどれくらい充実した時間を提供してくれるのだろう。どれくらい深く使い手の感性を揺れ動かすのだろうか。そうだ、日常に影響を与えるにはどこに置くのがベストだろうか、見つめていると思いはぐるぐると脳内を巡り、我に返る頃にはすっかり椅子が醸し出す雰囲気に飲み込まれてしまっている。ゆったり構えながら、時に絵画のように空間に浮かび上がる。クリスチャン・ヴェデルの美しいデザインは、間違いなく日常の光景を尊いものとして印象付けるだろう。
Model 1001 sofa by Sven Ivar Dysthe
Sven Ivar Dystheはノルウェーのオスロ出身だが、一定期間過ごしたデンマークで様々な刺激を受けている。オスロに戻り、その才能を開花、1960年にはミラノトリエンナーレで展示されたこちらの作品がノルウェー20世紀デザイン史の主要作品の一つと高く評価されている。椅子が持つ幾何学的構造が独特のデザインと称賛され「American Institute of DecorationsInternational」を受賞した。Dystheが生み出した数々の作品の中でも、こちらの「Model 1001 」シリーズは大傑作として君臨している。ローズウッド、スチール、レザーを巧みに組み合わせ、余韻に浸らせるほど魅力的な形状に導いた。時が流れようとも、固有の感性が人々に与える知性は熟し続ける。異彩を放つ作品である。
Model A232 “China” cabinet in teak by Børge Mogensen
この高い完成度に磨きをかける為、丁寧に入念に、持ちうる限りの知識を手掛かりに心を込めてメンテナンスを施した。「美しい形状を見事に作品にできて本当に良かったね。」時にはモーエンセンと対話を試みながら、当時の技術を分析しながら、作家と職人への理解を深めながら、僕は作業を進めるのだ。そうすると思考が流れていく道筋に軸のようなものが立ち上がっていく。どうやら作家が僕を信頼してくれているようだ。僕はどこかで眠っているモーエンセンが喜んでくれるよう作品に息を吹き返すことを考えながらメンテナンスに注力する。そうしておすすめの作品が頭角を現し出す。あなたの生活が素敵になることを常に作家も僕も願っているのだ。
Basket chair by Gian Franco Legler
「シンプルさが心の風通しを快適にしている。まるで小気味良い空気感に包まれているようだ。」この作品を見たときの私の第一印象である。座面から伸びた脚の広がり(絶妙な角度)が面白味を併せ持ち、こちらの感性をつかまえる。また、籐の密集効果を的確に表しているのは、スチールが描き出すシンプルラインゆえ。類まれな感性を放つスイスのデザイナー「Gian Franco Legler」の世界観が楽しい作品である。
BB54 secretary/cabinet by Cees Braakman
シーズ・ブラークマンが作り出す冒険的デザインはいつも新しい世界を開いてくれる。単に家具を家具として扱うという概念はひっくり返されてしまう。いかに僕たちは日常目にしているものから影響を受けているかを確認することになる。作家の抱いたデザインへの超越的な情熱が作品の至る所から伝わるからだろうか。ブラークマンの作風は絶えず堂々としていて、形状が放つ妙味や深度を十二分に楽しませてくれる。生涯、デザインへの挑戦を積み重ねてきた鋭い感性が「人生の醍醐味とは何だ」と本質を問うてくるだろう。