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・AP19 Papa bear chair & AP29 stool by Hans J. Wegner・Plexus sofa in rosewood by Illum Wikkelsø・Rosewood dining chair by Johannes Andersen・Rosewood coffee table・Model 218 Jupiter lounge chair in rosewood with ottoman by Finn Juhl・Tubular frame with rattan armchair by Arie Verbeek・Tm-03 side table & magazine rack by Cees Braakman・AP19 Papa bear chair in rosewood by Hans J. Wegner・Dining table with 2 leaves in rosewood by Arne Hovmand-Olsen…他
AP19 Papa bear chair & AP29 stool by Hans J. Wegner
ウェグナーの作風は非常にとりどり、それらは時にこちらの感性を耕してくれるゆえどんどん歩み寄りたくなる。20年前、家具屋になってまだ日が浅かった頃、初めて実際に見たパパベアチェアは私の心を捉えて離さなかった。呼吸の深さが変わり、胸の高まりを素直に受け入れた瞬間だった。あの感覚はまさに詩情的で「家具」への概念をそれまで捉えてきたものとはかけ離れた場所へ連れて行ってくれた。単に機能性や使用目的を基準にしていた家具の存在が、「感性を揺さぶられているかどうか」に重点が変わったのである。ウェグナーの作品が長く愛され続けている理由は、人生の背景あるいはものごとの見方が、変わるからではないだろうか。感性に働きかけながら日常への慎み深さを実感させる。好きな家具と日々を積み重ねる醍醐味は、実に計り知れない。
Plexus sofa in rosewood by Illum Wikkelsø
「心に留めたとっておきの話をしよう」「積み重ねてきたアイデアを語り合おうよ」イルムヴィッケルソーの作品はどうやら人の心をウキウキさせるらしい。目の前にして思わず笑顔が飛び交う会話を想像してしまった。想像力はどんどん膨張してゆき、思いもつかないアイデアをプレゼントしてくれる。まさに人の感性に語りかけながら惹きつけるツボを心得ているのだ。私はかねてからこの作家のファンだが、見れば見るほど「素材と形状」の相互関係を信頼という形で寄り添わせている作風に感動が増す。ヴィッケルソーは1999年にこの世を去ったが、彼の残した作品たちは永遠不朽である。
Rosewood dining chair by Johannes Andersen
異彩を放つ形状を眺めながら思考の散歩を試みる。見る角度によってはどこか風変わりでチャーミング、少し動かすと今度は凛とした格好。気持ちが引き締められたり、あるいは緩められたり。まるでこちらの心情を読み取っているかのように印象を変化させる。朽ちることのないローズウッドの美しさと手を結んだユニークな形状は、ヨハネス・アンダーセンの願いと共に人々の暮らしに円熟を運ぶだろう。
Rosewood coffee table
窓の外の景色を深くさせるのは、あなたの感性が豊かであり、そして平穏に保たれているから。培った感受性を自由に羽ばたかせながら、この美しいローズウッドが放つ杢目のデザインをご覧いただきたいと願う。自然が生んだ趣の深さは制限が無く優美でたおやか、そう、それらはかけがえのない時間の経過を刻み大自然の育みを表している。熟練職人により美しいテーブルと姿を変えた自然の結晶、きっとこれからも変わらず人々を魅了し続けるであろう。
Model 218 Jupiter lounge chair in rosewood with ottoman by Finn Juhl
フィン・ユールデザインのある風景を想像してみた。作家の世界観が色濃く反映した作品は、心地よい緊張感を生み出す。ひとつの出来事を多角的に捉える楽しみを運んだり、思慮深く本質を探らせる。モノとの付き合い方で人生の醍醐味がもたらされるとは、さすが妙手が生み出す逸品は違う。(いやはや椅子が置かれた風景を想像しただけで楽しめるのだからこの領域はなんとも奥深い。)フィン・ユールの芸術性の高さについては言葉ではなかなか書き尽くせないが、つねに影響を与えながら思考の軟化を手伝ってくれる信頼できる存在なのは確かなこと。美しい形状と感性を、ぜひ堪能していただきたい作品だ。
Tubular frame with rattan armchair by Arie Verbeek
ウッドとラタン、そしてメタル、この美しい融合はデザインに効果絶大。隅から隅まで配慮に満ちた形状は、素材が持つ各々の性質と見事に一体となっている。それは、当時のオランダ工業背景を物語っているようにも思える。椅子に座るひと時をどのように過ごそうか、楽しみと新しい発見が芽生えそうな作品だ。
Tm-03 side table & magazine rack by Cees Braakman
突き抜けた独自のセンスをデザインに反映させ、物作りに没頭したシーズブラークマンの希少な作品(今では美術品の領域に達している)。樺の木とメタルの使い方に極意が生まれるのは、鋭敏な感性が作用した絶妙な比率から。三点を軸にバランスを配分し、角度で形状を理想的に表現した。極めて洗練されているにもかかわらず、無骨に映るのも楽しい。しかしながら角度を変えればこれほど繊細なものはないと感嘆する。それはシーズブラークマンの人間性を表しているのかもしれない。異彩を放つ魅力的な作品だ。
AP19 Papa bear chair in rosewood by Hans J. Wegner
やっとここに辿り着いた、すっかり虜になってしまった。この包み込まれるような座り心地に混じり気なしの安堵感を得る。時代の移り変わりが激しい中だからこそ、この超然と佇むウェグナー作品に不動の美を感じるのだ。根を張って生きる人の日常にふさわしく、心の作用を満たしてくれるパパベアチェアは、この先も長い年月をかけてその役割を深く広く浸透させてゆくだろう。
Dining table with 2 leaves in rosewood by Arne Hovmand-Olsen
経年の美が凝縮、自然の優しさと力強さが合わさり言いようのない魅力を放つ。普段は天板裏側にすっぽりと収まっているエクステンションリーフが多人数に対応する、その伸縮自在の姿が並外れた美しさで陶酔させてくるのだ。テーブルを囲んだ際に生まれる会話までも影響を受けそうな想像力が膨らむ作品だ。