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Model OS 36 sideboard with tambour doors in rosewood by Arne Vodder,Tray table in rosewood by Poul Hundevad, DB01 sideboard by Cees Braakman,’Pirkka’ Dining set by Ilmari Tapiovaara for Laukaan Puu,Model 2213 Sofa by Børge Mogensen,Model 210 bar coffee table with Willy Meysmans ceramic by Alfred Hendrickx,Bang&Olufsen Stereo rack in rosewood by Jacob Jensen,Amsterdam chair by Pierre Guariche,Landi armchair by Hans Coray…他
Model OS 36 sideboard with tambour doors in rosewood by Arne Vodder
表現の形式が理想的、サイドボードが自信満々に作家アルネヴォッダーの熱情を伝えている。丹念に作り込まれた細やかな配慮も包み隠さず魅せてくれる。徹底的に磨かれた感性がものづくりに挑んだとき、様々な枠が外されることを理解する。作品の根幹をつかまえながら感受性を見事に投影するのは並々ならぬ深智である。彼の作品が時代の産物として取り上げられるのも得心がいく。さて、言い忘れてはいけない、この作品は裏面にも拘っている。惜しみなく綺麗に突板があしらわれているのだ。部屋の間仕切りやパーテーションとしても大活躍、機能美さながら多用途という面も重ね持っている。
Tray table in rosewood by Poul Hundevad
ローズウッドの表情がさりげなく辺りの空気を巻き込み、じわじわと心を惹きつけてゆく。見ているといつの間にか気持ちが穏やかになり、安堵にも似た感覚にさせてくれる。どこまでも配慮の行き届いた、見事な削り込みはセンシティブでまるで生き物のようだ。細い線が互いに支え合い絡み合う様子はまさに芸術的。天板が静かに外れ、トレイに姿を変えるとき、あなたはエッジの削り込みを手の内にする。それは、作り手の知恵に裏打ちされた美しさの究極の形である。
DB01 sideboard by Cees Braakman
なだらかな木肌の流れにユニークな脚先、美しい描写が円熟を見せつける。ブラークマン作品は心の振り子にそっと手を差し伸べ、ゆっくりと楽しむ術を教えてくれる。デザインに紛れ込ませた作家独自の手腕が随所で効いているのだ。降り積もるアイデアを一つ一つの作品に封じ込めたブラークマンの個性がキラリと輝く作品である。
‘Pirkka’ Dining set by Ilmari Tapiovaara for Laukaan Puu,
とっておきの空間作りを人生に例えたい。そこにはアイデアの柔軟性が必要不可欠。十分な経験があなたの今後を左右するように、目に飛び込む空間があなたの生み出す思考を左右する。つまり、目にするものが人生を作っているということ。デザインに宿る並外れた才能、律儀な線、その先に続いている景色、芸術作品ゆえ生まれる言葉などなど、揺るぎない個性を爆発させるタピオヴァーラ作品は、いつだってデザインの重要性に気づかせてくれる。使い手の人生に面白い現象を引き起こすのは言うまでもない。
Model 2213 Sofa by Børge Mogensen
心を掴んで離さない希少素材が形状を更に魅力的に押し上げている。巨匠ならではのデザインは、使い込むほどに味わいが増していく風合いの伸び代が素晴らしい。追求のその先をじっくり楽しんでいるような作品である。優雅に雑詠を慈しむゆとりのようにあれこれと思考の巡りをよくしてくれるのは、モーエンセン作品から学ぶ「形状の吟味」や、因習にとらわれない斬新さからの恩恵。力強さの中に優しさを調合してくれる作風は、決して色褪せず長く愛され続けるに違いない。
Model 210 bar coffee table with Willy Meysmans ceramic by Alfred Hendrickx
テーブルの中に小さなバーが備わっているなんてなんだか素敵だね、とディーラーと笑い合った。1956年、デザインの幅がぐんと広がりを見せた時代、Belformのために設計されたAlfred Hendrikckxの作品は、その斬新さから注目を浴びた。黒い漆塗りの木製ベースが角度で表情を出しながらスライドパネル付きの隠しバーにユーモアを注ぐ。さらに覆われたセラミックタイルで個性を爆発させるという塩梅。デザインの醍醐味がギュッと詰まった笑顔を誘う作品である。
Bang&Olufsen Stereo rack in rosewood by Jacob Jensen
この形状に潜む思い掛けない天分が、作家の気っ風を思い描かせる。数々のプロダクトを生み出したイェンセンならではのもの作り、作品を置いたときの風景が使い手の日常に与える影響を細部まで見計らっていたような面倒見のよさである。宙に浮いた独特の輪郭が至極美しく、機転を効かせた間仕切りの配慮と合わさって限りなく個性的だ。作家の気持ちと使い手の気持ちが合致したことを強く感じ取ることができる素敵な作品である。
Amsterdam chair by Pierre Guariche
奇跡的に出会えたガーリッシュ作品、目に飛び込んだ瞬間日本へ連れて帰りたいと強く願った。いつもより格段にワクワクの回路が太くなっていた。素晴らしい家具との出会いは、その先に待ってくれているお客様の笑顔だったり、暮らしに芽生える素敵な脈絡だったりを想像させてくれるのでとても貴重だ。今まで平坦だった物の見方を立体的にしてくれるのも実は日常目に留まるデザインのおかげだったりする。時折おとずれる脳漿を絞る瞬間とて、今まで見てきた形状に影響を受けていることも少なくない。今ここで、読んでくださっている方に、このような形でガーリッシュ作品を紹介できる喜びは何ものにも替え難い。
Landi armchair by Hans Coray
スイスのデザイナー「ハンス・コレー」がデザインしたランディチェアをご存知だろうか。当時非常に珍しかった板状のアルミを圧縮し、パンチングを施した作風にはバウハウス時代独特のセンスが宿っていて興味が注がれる。もともとは1939年に行われたスイス国際博覧会(Schweizer Landesausstellung)のためにデザインされたのだが、才能に富んだ傑作は瞬く間に広がりを見せ、デザイン史に残る名作となっていった。時代が変化しようとも、良いものは受け継がれしっかりと残って行くのだ。