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Heritage chair in mahoganyby Frits Henningsen、The cross lounge chair in teak by Fredrik Kayser、H269 lounge chair by Jindřich Halabala、DU02 Japanese series sideboard by Cees Braakman、Model134 easy chair in teak&oak by Hans Olsen、Model F675 butterfly lounge chair by Pierre Paulin、Clam chair by Philip Arctander、Shell lounge chairs by Miroslav Navrati、Boomerang rocking chair by Mogens Kold…他
Heritage chair in mahoganyby Frits Henningsen
全てが円熟、美の骨頂である。これほど美しい逸品「Heritage chair」に出会えるとは、家具屋冥利に尽きる貴重な体験である。Heritage chair はその名の通り、存在自体が遺産であり伝統なのだ。ヘニングセンデザインの創意溢れる優雅な曲線美は貫禄と隣り合わせにロマンチックな印象を抱かせる。独創的に波打つ形状が、今まで知る由もなかった世界へと案内してくれる。この偉大な作品が持つ無双の風格、ぜひ店頭でご覧いただきたい。
The cross lounge chair in teak by Fredrik Kayser
大きく息を吸い込んで作品との対面に少しの緊張感を紛れさせた。目の前に現れたカイザーの作品は、実に妙を得ていて何者にもとらわれない自由な面持ちでたたずんでいた。いつもお世話になっているディーラーから「The cross lounge chair」を見つけたと連絡が入った時、僕は正直言うとその時点で既に日本へ連れて帰ることを決めていた。この並外れた素晴らしいデザインを、家具好きの方々と共有したいと願うのは僕の癖で、そのために家具屋を続けていると言っても過言ではないのだ。フレデリック・カイザーのデザインには極めて感性を冴えさせる節があり、そして普段気付かなかったポイントへ着眼させてくれる。あっぱれで型破り、それでいてグッとくる傑作なのだ。
H269 lounge chair by Jindřich Halabala
チェコスロバキアの家具デザインを牽引、インテリアデザインの先駆者として名を残した「ハラバラ」の作品は、世界中でも評価が高く家具マニアが到達する究極の一脚だとディーラーが話した。1930年代、時代背景と共に様々な要素が組み合わさって、とびきりの「愛嬌」が生まれた。ハラバラのデザインは飛び抜けて印象が深く、ユーモアに溢れており、そして見る側を虜にする。曲木が描く優雅さは、椅子の領域を遥かに飛び越えながら不思議な世界へと招待する。とっておきの作品と過ごす日々はまるで物語のようである。
DU02 Japanese series sideboard by Cees Braakman
過ぎ去ってゆく時間を蔑(ないがし)ろにせず、日々の移り変わりに優しく耳を傾けたい。心の持ち方が日々を紡ぐ一張一弛のような役割に、そうして素敵な人生が出来上がる。目に飛び込む景色の中に美しいシーズ・ブラークマンの作品があった。しばらく見惚れ忘れてしまっていた瞬きを繰り返す。やはりこの作家の作り出すものは、用途の役割だけで存在しているはずがない。経年を刻みながら趣を携え、日々の暮らしに充実を残す。使い手の心情によって変化する表情も、人生を恭しく見守っているようである。
Model134 easy chair in teak&oak by Hans Olsen
質の高い完璧な曲線が日々を通してあなたの感性に語りかける。その作用は絶大、何を見てきたか何を感じてきたか、今まで培われてきたあなたの感性をハンス・オルセン作品は掌を広げて受け止めてくれる。広がり続ける固有の想像力を掻き立ててくれる。人生は流れる時間の積み重ね、日々を大切にしている人々がデザイン性豊かなものに惹かれるのは、作品が発しているオーラを感じ取りながら自身の心象に投影しているからではないだろうか。年数を重ねる醍醐味は本質を得ているものの愉しみ、人も家具も同じである。(New fabric)
Model F675 butterfly lounge chair by Pierre Paulin
ピエール・ポーランが描き出すデザインはファッション性に富んでいる。観る側の自由度をどんどん広げる節がある。アイデアは無限大だと作品が微笑みを浮かべているように映る。その様子が刺激となり、勢いを帯びて益々魅力が増してゆくのだ。眺めれば眺めるほど随想していた通りだと実感する。家具好きを魅了し続けるこの作家のデザインは、作り手と使い手の相互間に計り知れない何か特別なものを生むようである。
Clam chair by Philip Arctander
可愛いフォルムが特徴的なフィリップ・アークタンダーの代表作「クラムチェア」。見るからに心を温和にしてくれる。包み込むように体をすっぽりと迎え入れてくれるので、心が和むのだ。次に少し距離を持ってオブジェを観るように鑑賞してみた。作品を離れて眺めると脚先の丸みが効果を出していることに気付く。クラムにシープスキンが用いられる理由は明快だ。もこもこした雰囲気が温かな風景を作り出し、空間の印象を絵画のように写す。その様子は、まるでライフストーリーに幸せを溶け込ませているかのように精美である。
Shell lounge chairs by Miroslav Navrati
色合わせを楽しんでいる作家の姿が目に浮かぶ。ミロスラヴ・ナヴラティの作品に宿る至妙の面持ちはユニークで軽快、絶妙に施された形状と素材のバランスが目の肥やしとなり、ひねりの効いた日常を導き出す。芸術性を帯び、実用を兼ね備え、そして何よりアイデアを掘り起こす。使い手の五感を刺激しながら存在し、時にリラックスを提供する、まさに匙加減が愉快な小粋作品である。
Boomerang rocking chair by Mogens Kold
この作品を初めて見たときの感想だが、手帳には「見知らぬ場所なのにようやく辿り着いた感。」と書かれている。経験したことのない時間の流れと超然としたデザインが相まったのだろう。ブーメランチェアというその名の通り形状が至極ユニークで、非凡のみが持つ佇まいを放つ。デザインが確固たる信念を持ち合わせているようである。作家の偉大な想像力は、空間に奥行きを持たせると同時に時間の尊さを際立たせるに違いない。
Model FD130 sofa in teak by Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen
1960年代にデザインされたPeter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenの作品。彼らが生み出すデザインの特徴は挑戦し続ける姿勢がデザインに表れていること。時に大胆な挑戦にもかかわらず、作品に収められた時には小綺麗に装われ、フォルムの線を追うにつれ、どんどんその耽美な容姿に引き込まれていくのだ。比類なきデザインの美しさは、日毎に変化するさざ波のように使い手の感性を磨きながら同じ風景に奥行きを持たせるだろう。
Model FH3103 T-chair by Arne Jacobsen
ヤコブセンデザインのイメージは、道草の途中で思いがけず大好きだった人に出会ったようなウキウキ感を伴う。更に、ユニークな形状は作品自らデザインを面白がっているように錯覚させる。空間にポツンと置いたときの印象が一変する様子は、なんとも言えない味わいである。個性あふれる造形と、日常の交わりを心ゆくまで愉しみたくなる、そんな作品だ。
No. 8 dining chair in teak by Helge Sibast
クリエイティブな想像力がギュギュッと凝縮したヘルゲ・シバストのダイニングチェア。細い線を幾重にも伸ばした芸術的技法が、座面を宙に浮かせる格好で視覚的効果を生んでいる。どの角度からも美しいが、横から見た「Y」の特徴ある容姿は心動かす究極のモダニズムである。また、俯瞰から眺めると、背面から肘置きへは「U」の文字、その先端から後脚へとデザインが流れてゆく。この構造美からも、シバストの秀峰にも似た才能の豊かさをうかがい知ることができる。